自分探しの敬和学園で 人を、自分を、好きになる。
本校が中学校の先生方からいただくお褒めの言葉に「敬和学園は一人ひとりを大切にしてくれる学校」があります。
これについて常に自覚していることがあります。
それは、敬和学園だけが一人ひとりを大切にしている学校ではないことです。
一人ひとりを蔑ろにする高校などあるはずがありません。
どの高校も生徒を大切に育てていると考えているのです。
それにもかかわらず、「一人ひとりを大切にする」のが敬和学園の特徴として受けとめられるのは、そこに他の学校と違う何かがあるからでしょう。
敬和学園は他の学校と空気が違うと時々いわれます。
重苦しさがなく柔らかな雰囲気だといわれます。
空気、雰囲気は目には見えませんが確かにあるものです。
それは長い時間をかけて作られるものです。
敬和学園の定員は1学年200人です。
県外や海外からやってくる生徒に学力の相当高い人たちがいます。
新潟市内、県内からも同様の生徒が入学してきますが、彼らはいわゆる受験校ではなく、わざわざ本校を選んで来るのです。
そうした人たちがいる一方で、勉強はいたって苦手、中学は不登校であった、登校するものの適応教室で過ごした、という人たちも入学してきます。
このように敬和学園の特徴の一つに大きな違いを持った生徒が集まっていることがあります。
学力だけでなく、生まれ育った地域も様々ですので文化や考え方も当然違います。
生活力やコミュニケーション力も大きな違いがあります。
しかし、クラス編成は学力などによって分けることはしません。
特進クラスも設けていません。
勉強ができる生徒と、いたって苦手な生徒が同じクラスで学びます。
そのための配慮として、1年生は数学と国語は2クラスに、英語は3クラスに分けて、なるべく小さな単位で学習できるようにしています。
理科や美術、音楽などは1つのクラスに教師が複数入るなどして対応しています。
2年生からは希望する進路に合わせた個人選択性カリキュラムになります。
このように違いを大切にする空気や雰囲気の中で、自分の内側にある生きる力、学ぶ力が引き出されていきます。
1つの例をお話しします。
長年他の学校で働き、しばらく前から本校で働くようになった年輩の教師の話です。
ある3年生が授業の後で自分は板書を写しながら、説明を聞いて理解することや問題を解くことがとても苦手ですと、申し出てきたというのです。
その教師の経験では、生徒はふつう自分の弱さを明らかにすることは好まない、できる限り隠そうとすものだと思っていたわけです。
それを自分から明らかにできるのは、弱さも一つの個性として認めてもらえる空気が学校の中にあることがわかったというのです。
こうした空気が、不登校や特性から学校にうまくなじめず、人間関係がうまく築けない子どもたちも、学校生活を可能にしていくことになります。
それでも個々のケースに合わせた取り組みが必要な場合には、専任のスクールカウンセラーがいますので、できるかぎり適切な対応をしていきます。
場合によってはスクールカウンセラーを含めた担任、学年、保護者、学外の専門家と連携を取りながら個々のケースに対応しています。
現在専任のスクールカウンセラーが2名います。
さらに本校には寮がありますが、この寮が不登校であった子どもや特性を持った子どもを大きく成長させる受け皿になっています。
本校の教育の特徴に進路指導があります。
模擬試験を中心とした受験体制のカリキュラムは組んでいません。
200人のほとんどが進学します。
進学先にはいわゆる難関大学と呼ばれる大学がいくつもあります。
今年3月に卒業した生徒の進路は4年制大学57.2%、短期大学3.5%、専門学校等23.9%、就職9.4%、予備校等6.0%です。
大学進学のために敬和学園が最大に利用しているのはキリスト教大学の特別指定校推薦です。
全国にはキリスト教の大学がたくさんありあります。
国際基督教大学、立教大学、青山学院大学、同志社大学、関西学院大学、明治学院大学、東北学院大学、玉川大学、女子大でいうと東洋英和女子大学、恵泉女学園大学、神戸女学院大学などがあります。
本校はそうしたキリスト教大学から特別指定校推薦の枠をもらっています。
こうした大学が敬和学園の生徒に求めるのは、模擬試験で高得点を出すことではありません。
日頃の学習をどれだけきちんとしているかということす。
学力で言いますと、知識習得型の「アチーブメント」ではなく、問題解決能力、判断力をもった「リテラシー」です。
どの大学もリテラシー形の学力を持っている学生を求めています。
同時にコミュニケーション能力の高い学生を求めています。
リテラシーは個性をしっかり持つことが不可欠ですし、具体的な取り組みを通して、また失敗を重ねることを通して、身につけていく学力といえます。
その点、敬和学園は個性を大切すると同時に人間教育を積極的に行い、他者のために働く授業である労作や毎朝の礼拝などを通して、受け入れる力をつけていきます。
また学校行事、学年行事を教育の柱にしているので、3年間の教育で間違いなく高いリテラシーを身につけることができます。
同時に幅の広いコミュニケーション能力も身につけていきます。
そうした点が高く評価され、たくさんの特別指定校推薦枠をいただくに至っているわけです。
多くの高校ではいわゆる勉強以外の行事や集会に関わることが受験勉強の邪魔になる、進学の邪魔になるということになりがちです。
本校では逆にそれらに積極的に参加することが、自分の希望する進学の道を拓くことになります。
そこに学校生活全体が楽しいと思える状況が作り出されていく環境があります。
また、県内にとどまりたい生徒の中で、同じ法人の学内校である敬和学園大学には今年50名が進学しました。
この場合できるだけお金がかからないように配慮しています。
これらが本校の大学進学に関する特徴です。
以上、敬和学園について少しでもご理解いただけましたら幸いです。